現在ブレイク中のロックバンド・ヨルシカのMV『だから僕は音楽を辞めた』、『雨とカプチーノ』や、
音楽ユニット・ツユのMV『過去に囚われている』などで、
これまでと違う新たなアニメーション表現を製作する映像制作チーム・Hurray!(フレイ)
手描きアニメ、3DCG、モーショングラフィックを駆使しながらメッセージ性の強い映像が、
SNSを通じて今、人々に影響をおよぼしつつある。
本作『あなたから聴く物語』は、Hurray!が初の「セリフありアニメーション」に挑戦した意欲作。
今は使われることがほとんどなくなった公衆電話を通じて、主人公がちょっと不思議な世界と繋がる物語。
片岡義朗
この企画の狙いはとても面白いと思います。
今まで、何百年もの間、語り継がれ、使い古されたおとぎばなしをこの様に再生するのは勇気が必要でしょう。
そんな誰でも知ってるお伽噺にこんな斬新な切り口が残されてたんだ、ってことが面白い、と思います。
皆さんが期待するハッピーエンドでないものもあるし、独創的な露悪趣味的な、小悪魔的なキャラクター造形も面白いし、
セリフがきついこと言ってるのに、今風の渋谷界隈の現代語が飛び交うのも、
シュール感が出て居て、この作品たちの独特感をましている。
お勧めの、作品たちです。
アニメ&2.5舞台プロデューサー
(株)コントラ代表取締役
「タッチ」 「ハイスクール!奇面組」「キテレツ大百科」「ガンスリンガーガール」「蟲師」
ミュージカル「テニスの王子様」「聖闘士星矢」などを企画
亀山泰夫
ASMRのフォーマットとしてはとても良いと思う。
長さも適切で、ストーリーにも入りやすく、「???」というような要素がない。
また、10話目でここまでの断片がひとつの大きなストーリーにまとまっているのも良いと思う。
同じフォーマットを使ってもっと複雑なストーリーにもチャレンジできるのではないか。
ASMRの場合、今回見せていただいたような日常系が合っていると思うが、
同じフォーマットを使って、例えば異星人の来襲のようなテーマのシリーズを作ることもできると思う。
つまり、様々な可能性が広がるフォーマットに手がかかったということなのではないだろうか。
これまでのテレビアニメの30分フォーマットは、今の時代にはやはり長く感じる。
すでにYouTubeのアニメ等で短尺のストーリーものに取り組む動きがあるが、
ASMRの場合、それよりも簡便に、場合によっては画面を見ることなしに、ストーリーを伝えられるのではないかと思う。
さらに言えば、これを起点にしたメディアミックスや、メディアミックスの一環としてASMRを使うことを考えてみても良いのではないか…
という具合に可能性の広がりが感じられる。
研究者/元コンテンツプロデューサー
慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科研究員、博士(メディアデザイン学)
TVアニメ、美術展、雑誌などの多数企画・プロデュース