自然音で雑音をマスキング
して、
日常のストレスを少しだけ和らげるプロジェクトが
ZOWAで開始。
日常には「やらなければいけないこと」「やっちゃいけないこと」がたくさんあります。
私たちは生きるという有限な時間を有効的・効率的に使いたいと望みますが、
なかなかうまくいきません。
このプロジェクトでは、そんな世界中にある音の資源を活用して、
音による生活の充実を目指します。
プロジェクト第1弾は、作業に集中するため
雑音をマスキングする様々な雨の音をご用意
職場で新商品開発などアイデアや議事録をテキスト化する時や、授業で学んだことをノートに書き出すなど、自分の頭にある情報をアウトプットしたい時にオススメです。
激しめの雨の音を聴いて、電話のコール音やタイピング音、同僚の雑談などうるさいと感じる音を消し、目の前の課題に集中して取り組むことができます
都会の喧騒を忘れて、自然豊かな田園風景をイメージできる雨の音は、あなたがゆったりと眠りにつきたい時に最適です。
もしあなたが自然に囲まれた出身者であれば、実家で寝ていた時のような懐かしさも感じることができ、明日のエネルギーを充電することができます。
静かな雨の音は、お昼休憩中に聴くと気分をリフレッシュするのに効果的です。 午後からの大事なプレゼンやテストを考えてしまい、心が緊張していると実力が発揮できません。深呼吸しながらこの雨の音を聴くことで、焦りや戸惑いなどの心の緊張感を和らげることができます。
友人と些細なことで喧嘩してモヤモヤした日や、仕事で落ち込むことがあった日などは色々と考えてしまって寝つきが悪くなり、明日のコンディションも落としてしまうという負のスパイラルに陥ります。
ゆったりと聴ける雨の音は、就寝前、あなたを心理的にニュートラルなコンディションにさせ、明日にむけて気持ちをすっきりリセットするための手助けになります。
通勤・通学中の電車やバスは走行音やエンジン音、イヤホンなどの音漏れや会話など様々な騒音で一杯です。
これらの騒音をかき消すために音楽のボリュームを上げるのは、耳にとってむしろマイナス効果です。
この強めの雨の音は騒音をかき消し、イライラした周囲の空気から自分を切り離し、精神的なガードを作ることができます。
図書館や美術館など静かな場所ほど、ページをめくる紙の音や椅子を引く音、人の会話が気になってしまいます。
目の前のミステリー小説を読んでいてもが、頭に入ってこないこともしばしば。
静かな空間に馴染みやすく、雑音を和らげる雨の音は、あなたの集中力をサポートし、作業に没頭しやすくしてくれます。
安定感のある雨の音は、心の整理整頓に最適です。
入浴中、今日遭遇した出来事を思い出したり反芻したりするなど、一日の終える前にゆっくりと頭を落ち着かせる手助けをしてくれます。
カフェで勉強中、他の人のお喋りが聞こえてきて集中できない時や、仕事の資料を作りたいけれども、周りの会話が激しい時に最適な雨の音です。
大小様々な音色が豊富で激しい雨の音が、周囲の話し声を遮り、大切な情報を頭にインプットするときの集中力を高めてくれます。
傘に当たる音色の綺麗な雨の音は、心と身体を深くリラックスへと導いてくれます。
疲労回復目的のストレッチ中やヨガなどの最中に聴くことで、雑念をシャットアウトし、明日に向けて心をしっかりクールダウンすることができます。
時間とともに変化していく雨の音は、それだけで一つの流れる音楽のように感じ取ることができます。
好きな人に恋人ができて落ち込んでいる時など、周囲を遮断して無音でいたいと思うあなたの気持ちを少しだけ前向きにしたり、心に寄り添うような役割を果たしてくれます。
まず、研究されている音と心理的効果の関係性を教えてください。
私が専門としている学問領域は「音響心理学」と呼ばれるものです。「ヒトが音をどう聴いているのか」を解明することを目的としています。具体的には、音の聞こえとその音の物理的特性(音量・高さ・音色など)の関係を明らかにします。おもに実験心理学の手法を使って解明していきます。空気中を物理的に漂う音も、人の心理も、目に見えない現象です。だからこそ、この学問領域は解明が難しかったりします。ヒトが音を感じる特性が分かれば、音のデザインをしたり、音楽演奏したり、周囲の環境を制御しやすくなります。心理的効果と一口でいっても多様なもので的確に答えることはできませんが、例えば「不快な音の音量が大きくなれば、ヒトの心理も不快になる」という傾向はあると言えます。
今回の企画について聞いた時、いかがでしたか?率直な感想をお聞かせください。
はじめは今流行のASMRのコンテンツをASMR好きのユーザーに提供するだけの企画かと思いましたが、お話しを伺うにつれて、もっと広いターゲット層を想定していることを感じました。つまり、ASMRのヘヴィーユーザーだけでなく、「音」の効果を使って、生活のQOLを上げたいと思っているすべての方に対応した企画であることを実感しました。現代人のライフスタイルは多くのストレスや疲弊感を伴っています。とりわけメンタルの部分において、音から無意識のうちに疲弊感を感じる機会が多くなっています。その改善のために良質の自然音を音(音声)コンテンツとして提供することは、非常に重要であると考えています。
特にこの音源のこの部分が良かった等ありましたら、理由も含めて教えてください。
①が総合的によかったです。周波数成分が全域に存在し、特に低音域と中音域にバランスよく周波数成分が立ち上がっています。さらに、近景・中景・遠景といった音源の空間的位置もよく感じ取ることができるので、ソフトに没入感に浸れるのではないかと思いました。
②もよかったです。低音域~中音域(400~4,000Hz)がまんべんなく存在し、広がりのあるゆったりとした音です。背景にカエルや虫の音が存在するため、特に、元々地方に住んでいた人には入眠時に視聴することでリラックス効果が期待できるのではないかと思います。
④もよかったです。静寂感の伝わる雨音です。静かめでありながら、1つひとつの雨粒がやさしく全身を覆うような印象があります。低音域(50〜100Hz付近)と中音域(1,000〜4,000Hz付近)に2つの山があり、音色も安定しています。夜寝る前に聴きたい音源です。
⑦もよかったです。雨音が落ちたあと、雨水がまとまってゆったり流れゆく音もミックスされ、落ち着きを感じます。とりわけ低周波数域(1〜50Hz付近)が多く含まれるので、それが落ち着きや安らぎを導いている可能性があります。心がイライラしたり不安定になったりする場合は、効果的な雨音と言えるでしょう。
音源を視聴して日常の活用シーンに当てはめることは初めてのご経験でしょうか。実際にやってみていかがでしたでしょうか。
自然音を心の不調の症状に応じて活用した書籍(『心の不調が消える聞くだけ音トレ!』フォレスト出版)はありましたが、日常のライフスタイルに対応させて活用したことはほとんどなかったですね。実際にやってみると、とりわけ夜寝る前のホッとしたひとときや、仕事・作業の疲れを取って気持ちを切りかえたいスイッチのような音として、十分に活用できる可能性を感じました。この使い方はこれから開発していくと、多くの方に役立ちそうだと思いました。
環境音やASMRなど音にも様々なジャンルがありますが、先生は音についてどうお考えでしょうか。
音という現象はすべての人間に多くの影響を与えています。その重要性がまだまだ知られていないことが非常にもったいないと考えています。というのも、聴覚メディアは視覚メディアに比べ、無意識にヒトの心理に影響を与えることが多く、しかもあまり活用されていないからです。現代人は多くの情報を「視覚」で受け取っています。その間、耳(聴覚)は十分に活用されていません。あるいは、不快な音が耳から脳に入ってきた場合でも、脳は音をスルーする能力にたけているので、知らず知らずのうちに脳内に疲弊感が蓄積されていきます。その状態は危険なことと感じています。ダムの水が知らず知らずのうちに溜まり、ダムが決壊するかのような危険な状態が、心理にも共通した話しなのです。未活用の音の分野は、これからもっと活用されたり、ヒトの幸せに貢献する可能性を秘めていると考えています。
目を使うコンテンツが世に多くある一方で、耳を使うコンテンツはまだまだ少ないです。 これから音のコンテンツの活用シーンはどのようになっていくと思いますか?
Clubhouseが2021年初頭に日本で一時爆発的に流行りはじめましたが、音声コンテンツはまだまだ日本では十分な活用はなされていないと、私は考えています。ただ、音声配信メディア(VoicyやSpotifyなど)の台頭は凄まじく、アメリカではすでに多くの収益化が実現しつつあります。これまで我々の可処分時間を視覚コンテンツが多くを占めていましたが、これからは音声メディアはそれに追いつくか、あるいは席巻する可能性さえ秘めています。理由は、ヒトの脳に入る聴覚刺激は、感情に直接的な影響を及ぼす可能性が高いからです。視覚で同じ情報を受け止めても、ヒトの感情や情動に強く訴えかけることは少ないでしょう。音のチカラがあるからこそ、ヒトの行動に直接的な影響を及ぼし、幸せになったり不幸になったりするのです。一旦こうした影響力を知れば、耳を使うコンテンツは爆発的に広がるのではと、私は予測しています。
今後、先生が制作してみたい耳で楽しむコンテンツはどのようなものでしょうか。
意味的なものと響き的なものの2つに分けられると思います。意味的な音コンテンツといえば、視覚を使うことなく今欲しい有益な情報を耳から得られる音声プラットフォームです。実は私、Voicyのパーソナリティを2021年4月からやっていまして、じぶんの想いをじぶんの声で届けることに大きな手応えを感じています。とともに、他のパーソナリティが発信する情報を「声」で受けることの重要さを実感しています。響き的な音コンテンツといえば、今回の自然環境音の提供といった、「直接的な意味を伝えるわけではないけれども、ヒトの心理に訴えかける響き的な音源」が、大きな可能性を秘めているのではないでしょうか。雨の音や川の音、森林の音といった自然音のコンテンツは今まで存在していたものではありますが、そこに新たな意味合いや価値をタグ付けすることによって、新たなコンテンツとして広がりを見せることは、おそらく間違いないのではと考えています。
勉強、作業を効率化するためにどうやって聞くのが良いのでしょうか。ただ、流していれば良いのか?意識を少しでもそちらにもっていった方が良いのか?など効果的な聞き方があれば教えてください。
一口に勉強と言っても、大きく分けて3種類があります。1つはインプットする段階。つまり情報を脳の中に取り入れる段階です。2つはスループットする段階。つまり脳の中にインプットされた情報を咀嚼したり寝かしたりする段階。記憶(記銘)する段階とでも言えるでしょう。3つはアウトプットする段階。つまり脳の中にある情報を外に出したり表現したりする段階です。それぞれの段階に応じて周囲にある音の活用は変わってきます。ざっくりいえば、インプットする段階ではあまり意味の強い音はお薦めできません。例えば意味で塗り固められた音楽(歌詞つきのJポップ)などがそれに当たります。意味のない響きを流す手法はある程度効果が期待されます。アウトプットする段階では、自分の好きな音やノリのよい音、気分が高揚する音などがあれば、作業効率が高まる可能性があります。以上のように、勉強や作業をする場合でもその内容によって、使うべき音や音楽は変わってきますし、ヒトによっては外部に音や音楽のない方が集中する場合もあります。個人差や作業内容に応じて、細やかな音環境を変えていくのが理想ではないかと、私は考えています。
人によりリラックスする音などは違うと思いますが、究極の心地よい音があるとしたらどんなものだと思いますか?
個人差はあると思いますが、多くの日本人にとって好ましい音の種類はあります。それは、水に関する環境音です。例えば、海の波音、川のせせらぎといったもの。こうした音には音そのものから想起されるイメージが、自然系であるとか、落ち着きや安心感をもたらす方向性になるので、先験的によい音である可能性が高いです。ただしそうした自然音であっても、「しかるべき音量・音色・時間や空間的特徴」がないと、不快感が出ます。今回の企画で届けられた音源は、水系の音で心地よさを追求した音ばかりですので、究極といえば大袈裟ですがw、それに近い音の傾向であることは間違いありません。
24時間稼働している器官の耳ですが、休ませる必要はありますか?あるとしたらどういう音を聞くと休ませられるのでしょうか?
端的に言えば、耳を休ませることはできません。もっと具体的に言えば、耳から届けられた聴覚刺激はすべて脳で処理(知覚・認知)されますので、脳を休ませることはできないのです。ただ、耳に入る聴覚刺激を減らしたり、別の音を加えることによって、不快な音の印象を弱めることはある程度可能です。休ませるという言葉よりも、情報が入りすぎない静かな状態に近づけることは可能です。その音としては「無音」も考えられますが、ある程度音の存在がある方が、脳は休まります。今回の雨でいえば、静か目な雨の音を聞けば、脳が休まりやすい音環境をつくることができるのではないかと、私は考えています。